『国文学研究史』 丸山 茂著 2009年3月15日・文芸社発行 B6判・136頁・定価1100円+税 目 次 序 章 「国文学研究史」とは何か I 「国文学研究史」の歩み 8 U 研究史の課題と対象 13 V 研究史の時代区分 15 第一章 研究萌芽時代 I 和歌四式 19 (『歌経標式』『喜撰式』『和歌式』『石見女式』) U 『古今集』仮名序と『新撰髄脳』 21 V 『万葉集』の訓読と『能因歌枕』 23 第二章 作歌学時代 I 歌論・歌学 30 源俊頼/藤原範兼 U 六条家の歌学 34 藤原顕輔/藤原清輔/藤原顕昭 V 御子左家の歌学 43 藤原俊成/藤原定家 W 俊成・定家時代のその他の歌学 50 藤原教長と後鳥羽院/順徳院/鴨長明 V 物語研究の興隆 54 物語研究前史/源氏物語研究/伊勢物語研究 Y 古今伝授と歌論・歌学 65 三家分立/東常縁から宗祗への古今伝授 二条家流の歌論・歌学/京極家流の歌論・歌学 冷泉家流の歌論・歌学 第三章 古典学時代 I 新時代の機運 78 幽斎と長嘯子/対照的な師弟/茂睡と春満、その他 U 国学者による国文学研究 80 V 前期国学者による古典研究 82 ゛ 下河辺長流/戸田茂睡/契沖/荷田春満 賀茂真淵/本居宣長/真淵との出会いと古事記研究 宣長の他の著作と業績/古事記伝と源氏物語玉の小櫛 W 官長学の継承 100 実子春庭、養子大平、平田篤胤、伴信友など/宣長と同時代の国 学者による国文学研究/古典学者 第四章 近代国文学の成立 I 宣長学派から近代国文学(日本文献学)へ 108 帝国大学国文学講座の成立/芳賀矢一の日本文献学 佐佐木信綱の文献学/書誌学/本文批判/校本を作るには/ 注釈学/注釈と解釈/文献学的研究と文学史的研究及び文学批評 的研究 U 新しい研究法の形成 123 あとがき 126 索 引 135 ………………………………………………………………………………… あ と が き レポートの 熱気われに 伝ひ来て 病身の我を 奮ひ立たせき 主人(丸山茂)が亡くなってから、もう十年以上になります。 冒頭の歌は、病に倒れた主人が入院中に書いたものです。闘病中も病室から大 学へ通い、講義や学生の卒業論文、レポート作成の指導に当たっていました。 ふだんは酸素ボンベを手放せず苦しそうに体を横たえているものの、大学に着 いて講義室に入ると、一転して廊下まで響き渡る大きな声でとうとうと講義を 行い、とても病人とは思えない授業を展開していました。亡くなるその日の朝 まで、学生の論文やレポートの進捗状況も心配しており、教えることや学生を 育てることに情熱を持っていた主人でした。 家の中には今でも研究室から引き上げてきた蔵書や講義ノート、手製のプン トが積み上げられたままになっています。ある日ぼんやりとそのプリントを眺 めていると、きれいで優しさがにじみ出ている主人の字から、生き生きと授業 を行うその息づかいが伝わってくるようで、どんどん引き込まれていきました。 研究史を出版したいと語っていた主人の言葉を思い出し、思い切ってこれを一 冊の本にまとめることにいたしましたが、推敲に推敲を重ね、完全なものにし ようとする主人でしたので、「講義用プリント」という不完全なものを、各所 に手を加えないまま本として出版することを喜んでくれるかどうか、自信はあ りません。でも、この本を手にした方のお一人にでも、国文学研究史の骨格を 鳥瞰する書として、研究活動のお役に立つことができれば幸いに思います。 最後になりましたが、主人が諸氏の学恩を賜りましたこと、深く感謝申し上げ ます。また、索引の労をとってくださり、丁寧に校正してくださいました文芸 社の方々に厚く御礼申し上げます。 二〇〇八年 冬 丸山 茂(内) …………………………………………………………………………………… ■ 著者プロフィール 丸山茂(まるやま・しげる) 1931年新潟県十日町市に生まれる。 法政大学文学部日本文学科卒業後、同大学院人文科学研究科日本文学専攻修 士課程修了、博士課程単位取得満期退学。 文学博士。 国文学研究資料館調査員、弘前学院大学教授・学務部長、 盛岡大学文学部教授・同部長などを歴任。 98年逝去、享年66歳。 [おもな著書] 『春水人情本の研究』桜楓社 『春水人情本と近代小説』新典社 『芭蕉と奥の細道論』新典社 ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… 丸山茂先生は、法政大学の先輩である。重友毅先生の主宰されていた日本 文学研究会の常任委員であり、私は学部の頃から御指導頂いた。学部4年の 時、重友先生から、上田秋成研究会で発表しないか、というお言葉を頂き、 早速、「吉備津の釜」試論の草稿を提出したところ、丸山先生が査読して下 さり、その結果を重友先生から伺った。評価は厳しいものであり、結局、発 表は中止となったが、この一件は、私の研究への扉を開いてくれる出来事と なった。 日本文学研究会の例会は、午前中演習、午後各自の研究発表であったが、 丸山先生には、この例会でも多くの御指導を頂いた。 さらに、昭和女子大学へ勤務する時には、清水正男先生を介して、丸山先 生の大学院時代のノートを閲覧させて頂いたことがある。奥様が初版の「あと がき」で「奇麗な、やさしさがにじみでている主人の字です……。」と述べら れているように、重友ゼミの内容が実に丁寧に、記録されていた。 本書を拝読すると、丸山先生が弘前大学・盛岡大学で講義されている様子 が目に浮かぶようである。66歳という早すぎる先生の御他界は、誠に残念 であるが、本書の刊行を丸山先生は、きっと喜んでおられることと思う。 本書は、昨年3月に新風舎から発行されたものであるが、索引等を追加して 再び刊行された。 深沢秋男